今回は
眼鏡製造分野で日本が中国や韓国に抜かれた原因と理由についてです。
海外のスピード感と製造に対する前向きな(商売的に)考えにはいつも勉強させられます。
また、製造にかける投資も凄く 安い値段で大量に作る事ができるようになっています。
中国や韓国では数億円単位の産業機械がずらずらと並べられ世界中のブランドフレームの製造に携わっています。
コロナの影響でで最近は止まっている工場などもあるのですが、コロナ前は
デザインチームは1週間で図面を上げ、OKが出れば
サンプルは2週間で出来上がり、修正も2週間程度。
ロットの多さは3000〜5000単位ですが、売れているブランドであれば問題がない量。
そして驚くのはその早さ、納期は2〜3か月。
彼らが目指しているのは製造世界基準。
早い、安い、だけが売りであった中国は、ヨーロッパの産業機械導入でクオリティまでも高くなっている。
大量生産で納期も早く、クオリティも上がっているとなると注文が集中するのも理解できます。
それでは日本の製造はどうなのか?
ロットは中国から比べると300本〜と小さいですが
サンプルは2〜3か月、出来上がりまで1年を要します。
私の知っている最も時間がかかる所では2年半待ち。
なぜこのような事が起こってくるのでしょう?
①人が居ない。
コロナの影響で人員削減した為、働ける人の数に限りがあるという。
では人を増やせば良いのでは?と思うのですが
次いつ同じような事が起こるか分からないので不安で雇えないとの事。
②最新機械の導入
製造を増やし出来ない事が出来るようになる最新機械。
投資には数億円単位で掛かってくるが、日本の製造業ではそれが出来る環境ではない。
理由は色々あります。
・企業の体力がない。
・経営者が高齢で引退も考えている。
・世代交代が出来ていない。
・最新機械を扱える若手エンジニアも居ない。
・導入したとしても今まで低価格で受けていた為、今よりも高い金額が取れない。
という理由で機械の導入を前向きに考えている企業は殆どいません。
こうなってくると日本の政治経済に紐づく製造の弱さが良くわかります。
更に、今では海外製品の下請けが最も儲かるという事で、日本人デザーナーの日本製眼鏡が海外製品の製造に押しやられ、眼鏡がいつ上がってくるか分からないという。
③今十分仕事があるから無理したくない
これが製造で他国に抜かれた致命的な考えだと私は思っています。
作業効率を上げて、今ある仕事を早く終わらせより多くの眼鏡を作ろう!とは思わないそう。
聞く所によると、
日本の製造技術は世界が認めている。どんなに時間が掛かっても世界中から注文があるから問題ない!と。。。 なんと傲慢な。
今のままの製造で黙ってても仕事は来ると思っている傲慢な考えで
日本の製造は10年以上前に技術も、考え方も、前向きなビジネスとしても
海外に抜かれているという事実を知らない。
私は日本が大好きですし、日本製の商品は製造にかける思いの素晴らしさは世界何処に持って行っても誇れる商品だと思っていました。
全ての企業ではないにしても、眼鏡業界がこのようになってしまったのが残念でなりません。
ものづくりは常に前向きな考えで日々勉強、修行し、次作る時は今よりもっと良いものを作るんだ!という思考であるべきと考えています。
慣れ・傲慢・変化のない製造は衰退しかありません。
残された道は、一人のマンパワーで眼鏡が作れるようになる職人を育てる。
これに尽きると思います。
大量生産では出来ない事、単品だから手間暇掛けれる所などのメリットがあります。
日本独立眼鏡職人協会では一人の作家さんレベルから外注を受けられるレベルの工房まで
幅広く製造のノウハウを提供しています。
個人的には眼鏡店がこの現状を早く気づき導入してもらいたい所ですが
問い合わせの多くは一般の方が殆どです。
急速に進む円安で輸入フレームが高騰。
眼鏡店も本気で製造を考えなければいけない状況になってきているなと感じます。
Kommentare