眼鏡フレームの産地、福井県鯖江市。
2022年3月末の時点で鯖江に異様な変化が見られている。
今までの状況
鯖江の眼鏡は忙しくない普通の状態でも眼鏡を新規で企画し、
製造ラインに流したとしても6〜7か月は最低掛かる。
それは7〜10社近くの会社を順に回していかないと眼鏡が出来上がらないという
分業制で製造しているからである。
・フレームのカーブを付ける会社
・フロント部分だけ削る会社
・パットを作る会社
・蝶番とネジを作る会社
・眼鏡の腕の部分(テンプル)だけを作っている会社
・蝶番の埋め込みと固定作業を行っているだけの会社
・フロントとテンプルを組み上げる会社
・磨き工程だけを受け持つ会社
・仕上げの磨きを行う会社
・図面に合わせて調整をし出荷できる状態にする会社
これだけ見ても10社関わらないと眼鏡が出来上がらない。
金属製の眼鏡であればもっと多くの企業が関わる事になる。
当然、会社によって忙しい所があるからスムーズに流れてくれず
何か月もストップする事すら普通にある。
それだけではない。
鯖江で眼鏡の製造をしたいと思っても最低ロットというものが存在する。
新規でコネが全くない状態だと300本無いと受けれないと言われるだろう。
注文最低ロットが300本あったとしても各会社は喜んで仕事を受けてくれない。
何故ならばセッティングや製造ラインに乗せるため、眼鏡を固定する為の "治具" をその都度合わせなければ仕事が出来ないからだ。
半日掛ってセッティングを行い、2〜3時間で仕事が終わってしまうなんていうのもザラ。
要は手間ばかりで金にならないのである。
千本以上の注文でないと効率が悪く、売り上げも上げにくく、利益も出しにくい。
そんな状況が今までの鯖江でした。
そして今このような変化が起きている。
2020年4月のコロナを皮切りに、数多くの工場がストップした。
理由は国内外問わず、コロナでパニック状態になり注文がストップしたからだ。
補助金や助成金などの問題もあり、数多くの工場がストップし働いていた人は職を離れざるを得なかった。
そんな状態が1年以上続き、いつどこで再稼動をしたら良いのかも難しく
至る所で二の足を踏んでいるような状況。
6〜7か月掛って作っていた製造が、今とある会社ではナントと最大2年半待ち。
これは需要が高まってきているからではなく
コロナで離れざるを得なくなった人員を再度囲い込む事なく、
現在のマンパワーで同じペースで作っていく為このような事が今、起こっている。
2年半となるとファッションも流行もあったものではない。
1本あたり大きい金額を出してくれる海外のブランドが鯖江の工場を埋め尽くし
長年仲良くしていたメーカーですら無下に製造を断られるという、有り得ない状況となっている。
それだけではない。
コロナやウクライナ情勢、利上げや物価上昇、輸送コストが一気に押し寄せ
2〜3年掛けて段階的に眼鏡の価格が上昇する。
純国産(100%)であれば販売価格ベースで2万円近く上げないといけない程の
製造原価上昇です。
2022年度末までには原価2000円〜3000円。
世の中の状況が改善されず、このままの状況が続けば2倍3倍と上がると思われる。
既にその影響が当協会にも起こっています。
2021年度末から注文が殺到し、2022年度末までの製造キャパを超えてしまいました。
私達は独立眼鏡職人(一人で全ての工程を経て1本の眼鏡を作れる職人)を1人でも多く輩出し、職人に寄り添えるような環境で、この苦境を乗り越えていこうと思っています。
職人がいなければ「日本人の手による日本製の眼鏡」がいつしか見放されてしまうのではないか?と危惧しています。
現在、当協会では眼鏡職人を目指す受講者も募集していますが
眼鏡職人として力を貸してくれる仲間も募集しています。
眼鏡の1部分の工程を延々とする内職作業ではなく、
280工程全てを日々繰り返して学び、職人を育てることが可能な環境です。
将来的には海外拠点も視野に入れてますので、グローバルな環境と眼鏡作りに興味がある方はDM頂けると幸いでございます。
滞っている市場を、日本人の手によるMade by Japanese で
少しでも眼鏡業界が改善していけるよう努力していきたいと思います。
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